1次試験 [1] 試験内容
仏検準2級の1次試験の最初の問題は[1](印刷では四角の中に1)です。
どの試験でも同じですが、何も1番目からやる必要はありません。
でも仏検準2級の場合は、単純な選択問題なので試験への入りとしては適当な問題です。
設問は4つ。4つのフランス語の分にそれぞれ1か所空欄( )があります。
その( ) に入る適切な前置詞を6つの選択肢から選ぶというものです。
「なんだ、簡単そうだ」
ですよね。
確かに見た目そう思いますが、本当に簡単なのか具体的に過去の出題例を見てみましょう。
問題は4つだが選択肢は6つある
実際の春季試験に出題された問題です。
Tu as fermé la porte ( ) clé?
ドアにカギをかけましたか?という文です。
カギ(clé)をかけるという文になるように前置詞を選ぶのですが、選択肢にある前置詞は以下の6つです。
① à ② après ③ avec ④ dans ⑤ de ⑥ pour
どの前置詞を選びますか?
avecを選びませんでした?
正解は à なんです。
公式ガイドブックでは動詞fermerの用例として辞書などによく取り上げられていると書かれていますが、どうでしょう…あまり見かけたことないような…
ちなみに選択肢にあったavecは、残りの3つの問題文とも関係のない選択肢です。
この問題の引っ掛け選択肢として、多くの受験生がavecを選ぶであろうという想定の下にわざわざ用意されたのでしょう。
問題数と選択肢が同数であれば、見直しで気付きも生まれますが、この春季試験では他にavecを使いそうな問題文がないこともあって、自信をもって選んでしまいます。
つまり、問題が4問で選択肢が6つというのは、残りの2つはただの数合わせではなく危険な罠なのです。
仏検公式サイト「学習のツボ」前置詞
APEFのサイトに学習のツボというページがあり、そこで前置詞が取り上げられています。
ここでの出題例は「2014年度春季4級の問題 [6] 」の4問ですが、準2級の受験者なら全問正解できますでしょうか?
4級の出題とはいえ、そう簡単ではないと思いますので、ちょっとお試しになってみてはいがでしょうか。
pour 「~のために」と、それぞれの前置詞が最も頻繁に使われる平均的意味の範囲内で考えているかぎりでは、文全体が明快な意味をまとうとは言えません。ここでは、pour に「~の予定で」という「時期や期間」を表現する機能(使用法)があることを前もって知っている必要があります。
出典:学習のツボ > 第19回 前置詞あれこれ(初級から中級へ)
仏検準2級 1次試験 [1] 対策
公式ガイドブックでは、準2級の前置詞は基本的ものだけでよく、まれな用法は覚える必要ないと書かれています。
その「基本的なもの」という範囲・認識が人により違いますので何とも言いようがないのですが、額面通りには受け取ってはダメそうです。
ただ、準2級に挑戦するというモチベーションをお持ちの方は、さらに2級、準1級と目指している方だと思いますので、前置詞は一つ一つしっかりと頭に叩き込んでいく必要があります。
仏検では、準2級から先の2級以降も同じような前置詞の問題が出題されますので、準2級のうちにしっかりやっておくと、今後に役立つとも言えます。
前置詞は単発で都度覚えるのではなく、文法書などで体系的に学ぶことをお勧めします。
それと紛らわしいものも一緒に覚えておく必要があります。
une tasse de café.
「カップ1杯のコーヒー」はごく基本的な文ですが、実際の仏検準2級の1次試験[1]では以下の前置詞で出題されています。
une tasse ( à ) café.
「コーヒー用のカップ」ということなのですが、出題文が複数形になったりしていると、ついウッカリ早とちりしてしまいます。
また、仏検では動詞をマスターしないことには話が先に進みませんので、動詞を覚える際に、前置詞の入った文例で一緒に頭に入れてしまうことが効率的です。
ちなみに前にあげた問題文ですが、正解した人は前置詞というより動詞fermerを覚える際に文例も覚えていたので、正解( à )を選んだ方が多いと思います。
フランス語の動詞を覚えるのは、時制と活用形の組み合わせでホント大変なのですが、文例をチャンクとして一緒に覚えると「活用形をひたすら覚える味気なさ」を幾分緩和してくれます。
ちなみに参考にご紹介した仏検公式サイトの「学習のツボ」では、前置詞の勉強法について以下のアドバイスで結ばれています。
具体的なフランス語の例文とともに、たくさんの用法を覚えていくよう、地道な努力を怠らないで下さい。
出典:学習のツボ > 第19回 前置詞あれこれ(初級から中級へ)
仏検準2級 1次試験 [1] 対策 ~ ここだけの話
以上は建前といいますか、正直どこでもあるような話です。
ではここから、仏検準2級の合格したい人向けに1次試験 [1] 対策の話をしたいと思います。
仏検準2級の1次試験 [1] では、出題される前置詞はほぼほぼ決まっています。
ですから、文法書などで前置詞をひろく学ばずに、特定の前置詞に絞って覚えましょう。
その前置詞は以下のものです。
à , après , avant , avec , chez , contre , dans , de , depuis , derrière , devant , en , entre , malgré , par , pendant , pour , sans , sauf , sous , suf , vers
仏検準2級の試験を受けるまでは、いったんフランス語を学ぶということではなく仏検準2級に合格するために努力するという考え方に切り替えましょう!
(フランス語教育関係者の皆様、どうかお叱りのメールしないでくださいませ)
もっと言うと、文法書で前置詞を学ぶより過去問をこなす方が効率的です。
仏検準2級も過去の試験の難易度と整合性を担保しなければならないので、どうしても似たような問題が繰り返し出題されます。
Coupes le gâteau ( en ) six, s’il vous plaît.
と
Coupez ce fromage ( en ) huit, s’il vous plaît.
2009年と2014年の春季試験の出題ですが、ケーキを切り分けるのとチーズを切り分けるのが違いますが、問題的にはほぼほぼ同じです。
他にも同じように同種の出題が見受けられます。
( Selon ) la journaliste, il y a eu un accident dans ce quartier.
と
( Selon ) les journaux, il fera beau demain.
つまり仏検準2級の1次試験 [1] では出題傾向が固定化されているので、過去問をある程度こなしておけば確実に満点(8点)が取れるということです。
APEFの「仏検公式ガイドブック準2級」をアマゾンや楽天などで中古本を何冊か購入すれば万全です。
学生さんで学校に数年間の蔵書があれば最高です!ぜひ活用してください。
最後に気になることが
仏検準2級の1次試験 [1] の平均得点率は上昇傾向で、何と79%という試験も出てきています。
仏検準2級が始まった2007年以降は、1次試験 [1] の平均得点率40%台そこそこだったことを考えると雲泥の差です。
ただ、平均得点率といっても1次試験 [1] は4問だけですから、1問難しいものがあれば一気に得点率は下がるのですが…
今後は、4問中1問は難易度の高い出題になっていくような気がします。